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第16回断熱工事雑学講座

皆さんこんにちは!

上甲断熱工業、更新担当の中西です。

 

~やりがい~

 

1|断熱工事の役割——“快適・健康・省エネ”を同時にかなえる

断熱は、ただ暖かく(涼しく)する工事ではありません。
①快適(温度ムラの縮小/無風・静穏)、②健康(結露・カビの抑制/ヒートショック低減)、③省エネ・脱炭素(冷暖房負荷削減)を同時に実現する住環境の基礎工事です。設計数値(UA・C・Ψ)を、現場で再現するのが私たちの仕事。


2|“いま”現場に求められている主なニーズ 📈

  • 数値で語れる品質:設計UAに加え、現場は**C値(気密)**の実測、サーモ撮影での欠損確認。

  • 気密・防湿の“連続性”:面から面へ、部材を跨いでも層が切れないディテール。貫通部・コンセント周りの処理が勝負。

  • 熱橋(ヒートブリッジ)抑制:サッシまわり、土台・梁、金物、ベランダ接合部のΨ値対策

  • 窓の優先順位:改修では内窓/窓交換の効果が大。壁より先に“開口部×気密”を詰める。

  • 住みながら改修:粉じん・騒音・工程を最小化するフェーズ施工の段取り力。

  • 記録と説明責任:写真台帳・テープ・気密シートの型番・施工条件を残し、引渡し後も説明できる体制。

  • 環境配慮とLCA:低炭素素材(セルロース・木繊維・フェノール等)の採用と廃材最小化

  • 補助金・認証に耐える根拠:検査・申請の証跡準備(数値・写真・納まり図)。


3|この仕事のやりがい 🌟

  • Before/Afterが数値で返る
    C値が1.8→0.4、北側壁の表面温度が+3℃…改善が体感とデータの両方で見える快感。

  • 暮らしが変わる瞬間に立ち会える
    「朝の結露が消えた」「子どもが床で遊ぶようになった」——感謝の言葉が原動力。

  • “納まり”で解くパズル感
    構造・意匠・設備の狭間で、連続性を途切れさせない設計と施工を完璧に決めたときの達成感。

  • 地球にも効く実感
    年間の暖冷房負荷低減=CO₂削減。手を動かすほど社会に効く手応え。

  • チームでものづくり
    設計・監督・職人・性能評価者が“同じゴール(数値×体感)”を共有する一体感。


4|やりがい×ニーズが交差する瞬間(ミニ事例)💬

  • 北側カビの再発ゼロ:付加断熱+透湿設計の見直しで露点をまたがない納まりに。

  • 引渡し前“簡易ブロー”(石膏ボード前の気密試験)で漏気を特定→C値0.5を達成

  • 窓優先の改修:内窓+気密補強だけで体感が劇的改善、光熱費も目に見える低下。


5|“今すぐ効く”現場ミニ戦略 🧰

  1. 赤線で“気密ライン”を描く
     平面・断面・詳細に赤ペンで連続線を引き、貫通部を事前洗い出し。朝礼で全員共有。

  2. テープは“3点セット”で
     下地プライマー→気密テープ→押さえローラー。メーカー指定の温湿条件を守る。

  3. 窓まわりは先に決める
     サッシ位置・下枠防水、付加断熱の跳ね返し、見切り材まで標準化して現場迷子を防止。

  4. “ブロー&ゴー”の導入
     石膏ボード前に簡易ブロワードアで漏気探索→その場で是正。仕上げ後のやり直しを撲滅。

  5. 粉じん・騒音のルール化(住みながら改修)
     養生・負圧集塵・静音時間帯・日々の清掃写真をルーチンに。信頼が次の受注に直結。

  6. 湿気の逃げ道を設計
     材料の**sd値(透湿抵抗)**を並べ、内→外で大きく→小さくを基本に。内部結露の予防線を引く。


6|成果が見えるKPI(目安)📊

  • C値[cm²/m²]:新築≤0.5、改修≤1.0を目標。

  • 最小表面温度差[℃]:冬の窓際・北壁で**露点+最低2℃**をキープ。

  • UA達成率(%):設計UAに対し現場の仕様逸脱ゼロ。

  • 熱橋是正率(%):事前抽出箇所に対する施工・写真完了率。

  • コールバック率(%):結露・カビ・隙間風のクレームを限りなくゼロへ。

  • 施工生産性:1人日あたり施工面積/粉じん苦情ゼロ継続日数。

重要なのは他社比較より自社の基準線を上げ続けること。設計→施工→実測→是正のPDCAで前進。


7|スタッフのウェルビーイングも“必須のニーズ” 🧑‍🔧💚

  • からだ:腰・肩を守る台車・昇降足場・軽量工具、シート貼りは二人体制を原則に。

  • こころ:季節要因の疲労に合わせ**週1デブリーフィング(15分)**で共有。

  • 安全:切創・落下・粉じん(シリカ)対策のPPEフル装備とフィットテスト。

  • 学び:新素材・テープ・窓の施工トレーニングと、BlowerDoorの読み方を標準教育に。


8|キャリアと学びの道筋 🎓

現場職人 → 班長(品質・安全) → 施工管理 → 性能評価(気密測定・サーモ) → 積算・提案 → 断熱コンサル。
横断スキル:ディテール読解、Ψ値感覚、材料のsd値、写真台帳、住みながら改修の段取り、コミュニケーション。


9|これからの潮流 🚀

  • Deep Retrofit(段階的深掘り改修):内窓→屋根外断熱→外壁カバーのステップ設計

  • 断熱×設備の最適化:**小さな熱源(ヒートポンプ)**で賄える外皮へ。

  • 低炭素材料とリサイクル:セルロース・木繊維など環境価値も提案

  • デジタルQA:現場のサーモ・C値・写真をクラウド連携、引渡し=性能保証へ。

  • 健康価値の可視化:室温・湿度・CO₂・PM2.5のログで暮らしの質までエビデンス提示。


10|まとめ ✨

断熱工事のニーズは、数値で語れる品質/連続性と熱橋対策/窓優先の改修/住みながらの配慮/環境と証跡
その中でのやりがいは、体感とデータで“良くなった”がはっきり分かること、暮らしと健康に効くこと、納まりの工夫で難題を解くことにあります。

今日の一手で、冬はぽかぽか・夏はさらり
図面で描いた性能を現場で実現し、暮らしで証明する——それが断熱職人の誇りです。🧱🔥❄️

 

 


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